害獣ではなく、害人? INOCHIKAというアプローチ。

 みなさんはレザーの製品を何かお持ちでしょうか。ジャケット、バッグ、お財布、ベルトなどファッションでもたくさんのアイテムに使われていますし、イスやソファなど生活のシーンでも当たり前に溶け込んでいるほど様々な用途で使用されています。一部ではこのようなレザー製品のために殺されている生き物や密漁といった問題があり、その一方で頭数が増えすぎてしまい駆除されそのまま山に捨てられている野生の動物がいる現状もあります。

この人為的にもたらしてしまった社会課題を解決していくためにリバースプロジェクトではINOCHIKA(イノチカ)というプロジェクトを立ち上げています。

▪年間40万頭以上の鹿が駆除されている

 日本国内に目を向けてみるとニホンジカとイノシシはそれぞれ年間40万頭以上捕獲され駆除されています(環境省より)。環境の変化によってその頭数が増え、人里に降り、田畑を食い荒らすことから害獣として駆除されるようになりました。猟師に撃たれた後、そのまま山に捨てられているのが実情です。そんな”イノシシ”と”シカ”の”イノチ”を無駄にしたくない想いから、INOCHIKA(イノチカ)のプロジェクトをスタートしました。

害獣の中でも最も森林被害を及ぼしているのがシカです。林野庁によると平成20~24年までの5年間でシカによる被害を受けた森林は約24,000haにのぼり、その面積は東京ドーム約5,100個分に相当します。

また、自家用車から1年間で排出される二酸化炭素は約2,300kgです。この2,300kgの二酸化炭素を80年生のスギ人工林が吸収するのには約0.3haの森林面積が必要になります。(林野庁より)このことから、シカによる森林被害は二酸化炭素184,800トンに相当すると言えます。

鶏肉、豚肉、牛肉と並ぶ選択肢に、INOCHIKAの鹿肉や猪肉を。カーフ、ラム、ゴート、ピックレザーと並ぶ選択肢にINOCHIKAレザーを。新しい消費の選択肢としてINOCHIKAを普及させ、国内の害獣問題の解決の一翼を担っていきます。

▪害獣ではなく、害人?

 ここで2013年3月にコミカミノルタプラザにて発表したリバースプロジェクトのアート作品の一部をご紹介します。人間を中心とした世界、動物が中心となる世界、夢のような理想、フィクションの世界などそれぞれ別世界で進行する現実を見せた「Para展」。それらはすべて存在しており、ただ誰も見たことがないだけです。「parallel」に並走する世界には社会があり、過去も未来もある。

こうした並行しているはずの世界同士が何らかの理由で交錯するとき「paradox」、すなわち矛盾や逆説が生まれます。その公差する一瞬を写真として切り取り、問いかけを投げたいと考えました。これまでリバースプロジェクトは理想の未来と現実のギャップに世界の本質を見出そうと挑戦してきました。


「害人」

のぞきこむと鑑賞者の顔が映り込み、頭が鏡になっている剥製の鹿のオブジェ。鹿の頭をかぶった裸体の女性が、道の向こうから歩いて来る巨大な写真。害獣と呼ばれ駆除された鹿は果たして害獣なのか?害なのは人間のほうなのではないか?という伊勢谷友介の問いから生まれた作品です。アーティスト・藤元明と写真家・石川直樹が制作したオブジェ、写真、映像によるインスタレーションです。


▪高タンパク、低カロリーのヘルシーミート

 鹿肉は肉類の中でも特に栄養価が高く、高タンパク低カロリーであるのが特徴です。貧血予防に役立つ鉄分や、脂質代謝に関与しているビタミンB2も多く含んでおり、今では例えばボクサーなど、積極的に取り入れているアスリートもいるようです。

欧米では既に鹿肉は高級食材として取り扱われています。野生は危ない、という先入観を払拭するため北海道では認証マークの運動も行われています。

リバースプロジェクトではイベント時に鹿肉のソーセージを提供したり、ケータリングのメニューの中でも提供しています。

また昨年のリバースプロジェクトメンバーで行ったリバースプロジェクトキャンプでは、当然食事もサスティナブルに。手前味噌ですが、前日駆除された鹿肉と猪肉は、とても新鮮で今まで食べた鹿肉や猪肉とはまったく違った美味しさでした。

▪野生獣ならではの傷を楽しむ、愛着がわく自分だけのレザー

塩漬けされた皮は兵庫県たつの市でなめし、革製品に活用しています。家具リユース市場の創出と活性化に向けた事業を本格始動した株式会社大塚家具。買い取り・下取りキャンペーンを通じて集まった家具を、リバースプロジェクトのクリエイターのアイディアでさまざまな形でアップサイクルした商品ラインナップ「Un-TIQUE NEWTIQUE(アン・ティーク ニューティーク)」を開発しました。「アンティークではないからこそ、新しいアンティークにチャレンジする」という想いが込められ、いずれも新しいものと古いものを組み合わせ、これまでの経年の変化を楽しみながら、ストーリー性の高い家具とのさらなる関係を深めていけるようなインテリアのあり方を提案しています。


Nude Series

その中のひとつにINOCHIKAレザーを使用した家具を提案。無垢の状態に戻してみることをコンセプトに、作成された「Nude Series」です。まず木の素地を削りだし、白木のさらりとした質感に戻します。そこにINOCHIKAのヌメ革を貼り、しっとりとした柔らかさと、エイジングを堪能できるのが魅力のチェアが出来上がりました。木とレザーの”ヌード(Nude)“の状態から、新しい家具との関係性をつくっていってもらいたい思いを表現しています。


また、INOCHIKAはファッションにも活用されており、LeeやManhattan Portageやgentenなど様々なブランドとのコラボレーションもありますし、REBIRTH ROJECTのオリジナルの革小物も展開しております。野生ならではのキズも楽しんでいただくためにキズを省いたり隠すデザインではなく、キズをいかしたシンプルなデザインにしています。長財布、折財布、コインケース、カードケースなどシーンに合わせた革小物を提案しております。

ここまでご紹介しましたようにアート、そして衣食住で表現してきたINOCHIKA。自然との共存を模索していきながら、現状として駆除されている鹿や猪のイノチを大切にすることからスタートしているプロジェクトです。次回は害獣被害という社会課題とは別軸で、レザー製品を生産する上での環境破壊という社会課題についてINOCHIKAがどうのようにアプローチしているかをご紹介しますのでご期待ください。

リバースプロジェクトで展開しているINOCHIKAのアイテムはこちらから

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