現代の大人の嗜み!?話題のソーシャル・キーワードVol.5「殺処分ゼロ」とは


ソーシャルキーワードは大人の嗜みなのか?


持続可能な社会システムへの転換が世界的に求められている今、ソーシャル・キーワードはCSR担当者だけではなく、社会人の一般常識に!

REBIRTH PROJECTでは、毎回「話題のソーシャル・キーワード」をピックアップします。第5回目は「殺処分ゼロ」について解説します。

 


犬猫の「殺処分ゼロ」の定義とは?


2012年に動物愛護法が改正され、殺処分がなくなるよう各自治体が引き取った犬猫の譲渡に務める義務が明記されたことから、近年はいくつかの自治体が「殺処分ゼロ」を目指すようになり、実際に達成している自治体も出てきました。

しかし、環境省は先日、「殺処分ゼロ」の定義を明確にするため、譲渡が困難な犬猫の殺処分はやむを得ないとしました。

このことにより、“譲渡が難しい”という基準を、誰が、どのような見解で判断するのか、ということが明確な問題となっています。

保護された動物の多くは一定の緊張状態にあるため、施設では攻撃的でも実際には穏やかな育てやすい犬/猫であったという事例も多々あります。また、病気についても改善が困難と判断する獣医師の不足は、各自治体が抱える問題でもあります。

環境省によると、平成28年度の殺処分数は、犬が1万424匹、猫が4万5574匹、合計約5万6000匹となり、平成25年度の合計約13万匹から大幅減となっています。

しかしながら、「殺処分ゼロ」のスローガンのため、シェルターが過密状態となり衛生的にも問題が起こることや、過剰な譲渡により、各動物愛護団体への負担が大きくなっているケースも数多く見受けられます。

 

見せかけの「殺処分ゼロ」だけではなく、本来の意味での「殺処分ゼロ」を目指すために、私たちが同時に目指すべきことは、「捨て犬・捨て猫ゼロ」ではないでしょうか。

 

飼育放棄される犬猫がいなくなること、そのために、私たち個人はもちろん、ペットを販売する企業も、“不幸な命をゼロ”にするための意識改革、そしてその実現のために実際に行動に起こすことが、今、強く求められています。

 

(参考資料)
環境省 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」
Writer/Nana Takeda
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